アトピー性皮膚炎について
悪化や改善を繰り返す慢性(乳児期で2ヶ月以上、それ以外で6ヶ月以上)の湿疹で、長期間に及ぶことが多い病気です。
子供の頃に発症して成人になると軽快することが多いですが、成人になってから再発したり重症化することもあります。
アトピー性皮膚炎の原因や憎悪因子はたくさんあり、除去できないものが多いです。アトピー性皮膚炎の人の皮膚は、皮膚の最も外側の層にある角層の異常により皮膚のバリア機能が低下しています。そのため冬の乾燥や夏の汗、衣類の刺激などに対して皮膚が弱く、炎症を起こしやすい状態になっています。
アトピー性皮膚炎が治りづらいのは、肌のかゆみが起きることで掻きむしってしまい、その結果炎症や湿疹が悪化し、またかゆみがひどくなるといった悪循環が続いてしまうからです。そのため肌のかゆみをまずは抑えるという治療が優先されます。 また、日頃から汗や乾燥、洗剤など日常生活での悪化要因となる刺激を避けて皮膚を清潔に保つこと、肌に保湿を促すためのスキンケアを行うことやダニやホコリといった外的環境を清潔に保つこと、アレルギーを有している場合はそれを避けることなどが重要です。
当院での治療
外用薬・内服薬での治療
症状や部位に応じてステロイド剤、免疫抑制剤、非ステロイド剤、保湿剤などを外用することと、抗アレルギー剤の内服が中心になります。
紫外線療法
アトピー性皮膚炎の症状が出ている部位に紫外線を照射することで、内服薬や外用薬では改善されにくい皮膚の免疫状態を改善し、皮膚症状を良くする治療方法です。 痛みはほぼなく、週に1回∼3回受けることでアトピー性皮膚炎のかゆみを抑える効果を実感できます。
デュピクセント
今までの治療で十分な効果が出なかった、中程度以上のアトピー性皮膚炎の患者さんにお使いいただけます。効果が非常に高く症状の改善が大きく期待できる新しい薬として注目されています。
- デュピクセントとは
- かゆみと炎症を伴うアトピー性皮膚炎の多くは特定のタンパク質が原因となって症状が発生するものと考えられているのですが、デュピクセントによってそのタンパク質を抑制することでかゆみを抑えることが可能です。その結果、肌のバリア機能を取り戻すことができアトピー性皮膚炎の症状を改善することができます。
- デュピクセントを受けることができる方
- 生後6ヶ月以上でアトピー性皮膚炎の症状を持っており、ステロイド外用薬などを一定期間投与しても十分な効果が得られない方
※生後6ヶ月以上で15歳未満の小児の患者様には体重に応じて決められた用法用量で投与します。 - 非常に効果の高い治療法ですが、その分医療費が高額になっています。
薬の価格が1本あたり66,356円と高価な薬となります。しかし保険適用ですので、3割負担の方で19,907円、1割負担の方で6,636円が自己負担分です。
治療を続けるには高額なため医療費助成制度を活用することもご検討ください。
※初回は2本投与 → 3割負担の方は39,814円、1割負担の方は13,272円 - 下記に当てはまる方は投与に際して注意が必要です。
- 寄生虫感染のある方
- 生ワクチン接種の予定がある方
- 妊婦又は妊娠の可能性がある方
- 授乳中の方
- 高齢の方
- 喘息等のアレルギー疾患をお持ちの方
(治療に有効ですが、急に中止すると喘息が悪化する可能性があります)
※デュピクセントの副作用として、ふらつき・めまい・息苦しさ・眠気などがごく稀に起こることがあります。
- 生後6ヶ月以上でアトピー性皮膚炎の症状を持っており、ステロイド外用薬などを一定期間投与しても十分な効果が得られない方
デュピクセントに興味がある方は初診の際に詳しいご説明と、デュピクセントを投与するために必要な検査をしますのでクリニックまでお越しください。