手足口病

「子どもの手や足に小さな水ぶくれが出てきた」「口の中に口内炎のような症状がある」「熱が出て食欲がない」そんなとき、真っ先に疑いたいのが手足口病です。
手足口病は毎年夏を中心に流行する感染症で、乳幼児を中心に多くのお子さまが罹患します。近年では大人への感染も増加しており、家族全員が注意すべき病気として広く認識されています。

西宮市の皮膚科あさくら皮フ科クリニックでは、手足口病の診断・治療・感染予防指導に力を入れており、皮膚科専門医の視点からお子さまはもちろん大人の患者さんにも丁寧な診療を提供しています。

手足口病とは

手足口病(Hand, Foot and Mouth Disease:HFMD)は、主に乳幼児を中心に流行するウイルス性の感染症です。
病名のとおり、手・足・口の中に特徴的な発疹や水疱(水ぶくれ)が現れることから、この名前がつきました。感染力が非常に強く、保育園・幼稚園・小学校などの集団生活の場で一気に広がる傾向があります。

厚生労働省が定める「学校保健安全法」では、手足口病は「第三種感染症」に分類されており、症状が回復するまでの登園・登校停止が推奨されています。

手足口病の原因(感染経路)

手足口病の原因(感染経路)

手足口病の主な原因となるウイルスは、コクサッキーウイルスA6・A16型およびエンテロウイルス71型(EV71)です。
これらは腸内ウイルス(エンテロウイルス)の一種で、複数の型が存在するため、手足口病には何度でも罹患する可能性があります。

感染経路は主に以下の3つです。

①飛沫感染

感染者の咳・くしゃみ・会話などの際に飛び散るウイルスを吸い込むことで感染します。手足口病は感染力が強く、症状が出る前の潜伏期間中(感染後3〜5日程度)にも感染を広げる可能性があります。

②接触感染(糞口感染)

感染者の便には長期間ウイルスが排出されます(症状消失後も数週間〜数ヶ月継続することがある)。おむつ交換後の手洗い不足や、ウイルスに汚染されたおもちゃ・タオルを介して広がります。

③経口感染

感染した人の水疱の内容物にもウイルスが含まれており、これに触れた手を口に入れることで感染します。

手足口病の感染拡大を防ぐためには、こまめな手洗い・手指消毒、タオルの共用を避けることが何より重要です。

手足口病の症状

手足口病に感染すると、潜伏期間(3〜5日)を経て以下のような症状が現れます。

発熱は38℃前後の軽度のものが多く、高熱になることは少ないですが、なかには39℃以上の発熱が続くケースもあります。発熱は1〜2日程度で治まることが多いです。

口腔内の症状として、口の中(舌・歯茎・頬の内側)に2〜3mmほどの水疱や潰瘍(口内炎)が現れます。これが非常に痛みを伴うため、食事や水分摂取が困難になることがあります。特に乳幼児では脱水症状に注意が必要です。

手・足・臀部(お尻)の発疹は手足口病の最大の特徴で、手のひら・足の裏・指の側面などに赤みを帯びた水疱が複数出現します。かゆみや痛みはほとんどない場合が多いですが、コクサッキーウイルスA6型による手足口病では水疱が大きく、全身に広がりやすいとされています。

手足口病の流行警報が各地で出されている

今、全国各地で手足口病の流行警報・注意報が繰り返し発令されています。

国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、手足口病の定点あたり報告数は近年増加傾向にあり、警報レベル(定点あたり5以上)を超える地域が複数の都道府県で同時期に出現する事例が増えています。

手足口病は夏(6〜8月)をピークに流行しますが、近年では秋以降も散発的な流行が続くケースも報告されています。気候変動や人の移動・交流の増加が、流行サイクルの変化に影響していると考えられています。

手足口病の流行期には、保育施設や学校での早期発見・早期対応が感染拡大防止の鍵となります。「もしかして手足口病かも…」と感じたら、早めに皮膚科を受診することが重要です。

大人にもうつる?手足口病の大人への感染リスク

「手足口病は子どもの病気」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、大人も手足口病に感染します。特に、感染した子どもと密接に接する親御さんや保育士・教師などは感染リスクが高い状況にあります。

大人が手足口病に感染した場合、子どもと同様の症状が現れますが、いくつかの点で異なる傾向があります。

大人の手足口病の特徴として、口腔内の水疱・潰瘍による強い痛みが挙げられます。
子どもに比べて大人は免疫応答が強く出るため、発熱・倦怠感・関節痛などの全身症状が強く出ることがあります。また、手足の水疱が非常に多数出現したり、皮疹の範囲が広がったりすることもあります。

さらに、大人の場合は仕事や家事を続けながら感染しているケースも多く、症状が長引いたり、回復後の爪甲脱落が生じたりすることもあります。「熱もないし、ただの肌荒れかな」と放置しがちですが、感染拡大を防ぐためにも早期に皮膚科を受診することを強くおすすめします。

皮膚科で手足口病を診るメリット

「手足口病は小児科に行くべきでは?」と思われる方も多いかもしれません。しかし、皮膚科は皮膚・粘膜の疾患に特化した専門診療科であり、手足口病の診断・治療において皮膚科を受診することには大きなメリットがあります。

皮膚科専門医による正確な診断

手足口病の皮疹(発疹・水疱)は、水痘(みずぼうそう)・帯状疱疹・口内炎・多形性紅斑など、他の皮膚疾患と見た目が似ていることがあります。皮膚科専門医は、皮疹の形態・分布・経過を詳細に評価し、手足口病と他疾患の鑑別診断を正確に行うことができます。特に大人の場合、皮疹が非典型的なパターンを示すことが多く、皮膚科での診断が特に有効です。

皮膚症状への専門的なケア

手足口病では、水疱が破れた後に皮膚がただれたり、二次的な細菌感染(とびひ)を合併したりすることがあります。皮膚科では、皮膚バリア機能の回復をサポートする外用薬の処方や、合併症予防のための適切なスキンケア指導を行うことができます。

回復後の爪甲脱落症への対応

手足口病の回復後2〜4週間ほどで、指の爪がはがれてしまう「爪甲脱落症」が生じることがあります。これは手足口病後の代表的な後遺症で、決してまれな症状ではありません。皮膚科では、爪の状態を評価し、感染予防・再生促進のための適切な処置と指導を行います。

治療方法について

手足口病に対する特効薬(抗ウイルス薬)は現時点では存在しないため、治療は対症療法(症状を和らげる治療)が基本となります。
保険診療の範囲内で、以下のような治療を行います。

  • 解熱鎮痛剤の処方:発熱や口腔内の痛みを緩和します。
  • 外用薬の処方:口腔内の潰瘍には口腔用軟膏、皮膚の水疱には皮膚保護・抗炎症作用のある外用薬を使用します。
  • 二次感染予防のための抗菌薬:水疱が破れた部位に細菌感染が生じた場合、抗菌外用薬を処方します。

よくある質問

手足口病は何日で治りますか?
手足口病の多くは、発症から1〜2週間程度で自然に回復します。発熱は1〜2日、口腔内の水疱・潰瘍は3〜5日、手足の発疹は5〜7日程度で改善することが多いです。ただし、症状が長引く場合や、高熱・嘔吐・意識障害などの重篤な症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
手足口病はいつから登園・登校できますか?
手足口病は学校保健安全法における「第三種感染症」に分類されており、「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」が出席停止の目安とされています。一般的には、発熱が解熱し、口腔内・皮膚の水疱が乾燥・消失し、食事・水分が十分に取れる状態になれば登園・登校が可能とされますが、施設・学校の方針にもよります。必ず医師に確認のうえ判断してください。
手足口病に何度もかかることはありますか?
手足口病のウイルスは複数の型があるため、異なる型への感染によって何度でも罹患する可能性があります。一度感染してもほかの型のウイルスに対する免疫はできないため、毎年の流行期には引き続き感染予防対策が必要です。

手足口病のご相談は西宮市のあさくら皮フ科クリニックへ
手足口病は、正確な診断と適切な治療・指導によって早期回復が期待できる病気です。「子どもの手や足に水ぶくれが出た」「口の中に痛みがある」「大人なのに手足口病かもしれない」そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひお早めに皮膚科専門医のいる当院までご相談ください。